2024/06/21 16:25

今回は、東京・アーティゾン美術館で開催中の、ブランクーシ展をご紹介します。


ブランクーシは、20世紀彫刻の草分け的存在として知られる彫刻家。


彫刻といえば、緻密でリアリスティックで…というイメージを持たれる方も多いと思います(私もそのひとり)。

でも、こちらの展覧会は、モダンなインテリア好きさんにも推せる内容!


どういうことか?早速お伝えしていきますね。



『ブランクーシ 本質を象る』展覧会の内容


ルーマニア出身のコンスタンティン・ブランクーシ(1876-1957)。

彼は、自然と通底する造形や、純粋かつ本質的なフォルムの追求を通して、抽象彫刻の領域を切り拓いていきました。


同世代のみならず、後の世代にも大きな影響を与えたブランクーシ。

インテリア好きではご存知の方も多いはず、かのイサム・ノグチは、ブランクーシの助手として学びを得たのだそうです。


今回の展覧会では、ロダンの影響を残した初期の正統的な彫刻から、抽象化が進んだ後半期の彫刻、加えて絵画や写真作品まで、彼の表現を総合的に紹介。


関連アーティストの作品も織り交ぜられながら、ブランクーシのアトリエをイメージしたという白を基調とする空間で、充実した展観を楽しむことができます。



洗練されたフォルムの美しさ


少し作品をご紹介しますね。


「ミューズ」 1918年(2016年鋳造)

アフリカの仮面のような、アジアの仏頭のような。卵型は、ブランクーシにとって生命の根源を意味していたようです。



「雄鶏」 1924年(1972年鋳造)

長年にわたって鳥を主題に用いたブランクーシですが、上昇するフォルムは、天空・垂直方向への探求が現れているのだそう。

鑑賞者の想像力までもが自由に掻き立てられ、解釈も無限に広がっていく気がします。


事物の本質に迫ろうとした結果として、単純化されていく。


”洗練された”とは、単に見た目だけのものではなく、複雑な内面的なものが、削ぎ落とされ美しい外面となって現れたこと、とも言えるのかもしれせん。



彫刻作品を写真で再解釈する


多数展示されている写真作品は、彫刻作品をブランクーシ自らが写真に収めたもの。


彼にとっての写真とは、ただ彫刻作品を見せるためのメディアではなく、彫刻作品の側面を引き出すための表現方法だったのだそうです。


彫刻作品と、それを撮影した写真作品、両方を鑑賞することができる本展。見比べてみるとそれぞれに全く異なる魅力があって、すごく面白かったです。


写り込むアトリエは、まるでギャラリーのような神聖な空気感。

光や質感も特徴的で、写真そのものとしても十分楽しめると思います!



インテリアを格上げするモダンなオブジェ


今となっては一般化されている、”モダンなオブジェ”なるもの自体、ブランクーシなくしては生まれなかったのかもしれません。


素材、フォルム、モチーフ、あらゆる要素が掛け合わさって出来たオブジェは、本当に奥深いです…


それでは最後に、当店がセレクトしたオブジェをご紹介しますね。


   


ご紹介したブランクーシ展は7/7(日)まで。

アーティゾン美術館は、常設展も見応えたっぷり(近代西洋美術の教科書レベル!)なので、気になった方はぜひ訪れてみてくださいね!!


ではでは、次回のカルチャーブログもお楽しみに。 

Heartley店主 Kanako