2026/06/05 08:00


最近なぜか、訪れた展示や読んだインタビュー、聞いたお話など、色々な場所で同じテーマに出会っています。

そして気が付けば、そのことについて考える時間が増えていました。

今回は、そんなテーマについて書いてみようと思います。


自分から離れられる瞬間


遠藤文香  <Pneuma>

少し前に、写真家の遠藤文香さんのトークイベントを聞きに行きました。

トークの内容からも作品自体からも、感性や身体感覚のようなものを大切にされる姿勢が滲み出ていて。
心の中で大きく頷きながら、また、同時に強く惹かれながら、お話を聞いていました。

そして、特に印象に残ったのが、「写真を撮る瞬間は、自分から離れられる瞬間。幸せな瞬間。」といったお話をされていたことです。


Don’t think. Feel.


吉野英理香  <NEROLI>


先日訪れた東京都写真美術館の「TOPコレクション Don’t think. Feel.」展でも、どこか通じるものを感じました。

AI時代における”感触”をテーマに、収蔵作品が紹介されたこの展覧会。

作品を見ながら、タイトルでもある「考えるな、感じろ。」という言葉が、すっと胸に溶け込む感覚がありました。

私にとって、アートに触れる時間はかけがえのない時間ですが、ふと思い返してみると、いつもあまり「考えていない」のです。


頭で考えようとする前に、

美しい。
儚い。
苦しい。
なんだか分からないけれど惹かれる。

そういった、うまく言葉にできない感覚が必ず先にあります。


そして、そうした時間の中では、生活や仕事のこと、人間関係も自分自身のことさえも、頭に浮かばない気がします。

作品の前にいる間だけは、いつもの自分から解放されて、ただ作品と向き合うことだけが残る。

もちろん、すべての作品がそうではありません。
けれど時折、ただ見ているだけで、頭ではなく心がほどけていくような作品に出会うことがあります。

私にとって美術館は、そんな感覚に触れられる場所なのかもしれません。


美術館とヴィンテージの共通点


北代省三 展示風景


そしてこれは、ヴィンテージが好きな理由、ヴィンテージを選ぶ感覚と、少し似ているのかもしれないと思いました。

インテリア雑貨という特性上、「空間にどんな風に作用するのか」を言葉にすることも多いですが、実際にはその前の段階があります。

理屈では分からないけれど、視線を預けたくなる、そばに置きたくなる、触れたくなる。

アートもヴィンテージも、その背景やストーリーを知ることで、面白さが増すこともあります。

でも、理由を考える前に心が動くこともある。
そして、その感覚に没頭している間は、自分の中の雑音が静かになり、考え続ける日常から少しだけ距離を置ける時間でもあります。

情報が溢れる世の中で、無意識のうちに何かを考えてしまう日々。
だからこそ、考えずに感じられる瞬間や、心が喜ぶきっかけを、これからも大切にしていきたいと思うのです。


川内倫子 <Illuminance>


ご紹介したTOPの展覧会は6月21日まで。
個人的には川内倫子さんの作品が大好きなので、映像作品の前でつい長居してしまいました。

会期終了まで残り僅かですが、ご興味のある方はぜひ。


ここまでお読みいただきありがとうございました。


Heartley店主 Kanako

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