2026/07/17 08:00

ここ数日でぐんと暑くなり、ついに夏本番を迎えましたね。

先日Podcastで、「ヴァカンス映画」についての話題を耳にしました。

エリック・ロメールやジャック・ロジエ、ギヨーム・ブラックといった監督たちが描く、夏のヴァカンスを描いた映画。

以前よりこのジャンルが好きだった私ですが、今回改めて「豊かさとは何か」を考えさせられたので、ここでご紹介してみようと思います。


ヴァカンスの「何も得ない」時間


このテーマを取り上げていた番組は、文化放送『武田砂鉄 ラジオマガジン』。
ソロ・DIVA Projectとしてのアーティスト活動に加え、執筆や作詞業など、幅広く活動されているゆっきゅんさんが水曜レギュラーを務める、”ゆっきゅんの「かけがえながり」”というコーナーです。

ヴァカンス映画のDIVAたち/ゆっきゅんの「かけがえながり」#39(2026年7月8日放送分)


そもそもヴァカンス映画とは、言葉通り長期休暇を過ごす人たちの様子を描いた映画。

ゆっきゅんさんは「成長しない」「学びを得ない」「日常に戻っていく」といった表現をされていましたが、基本的に大きな事件のようなものは起きません。

海で泳いだり、おしゃべりをしたり、お昼寝をしたり。
小さな出会いや儚い出来事はあれど、登場人物たちはただ夏を過ごし、その季節を終えていきます。

こういった映画を観ていると、登場人物に共感するというよりも、「こんな時間を過ごしてみたい」という憧れに近い感情が湧いてきます。

そこに流れる空気や人との距離感、時間の使い方。
そのすべてが、とても豊かに感じられるのです。


ゆっきゅんさんのお話でとても納得したのが、日本では「また頑張るために休む」という考え方が自然だということ。
一方で、ヴァカンス映画で描かれる休暇は、「休むために休む」時間。

言われてみれば私自身も、休みに対して、充実させたい、何かを得たい、やりたかったことを片付けたい、といった具合に、「休む意味」を求めがちな気がします。

でもヴァカンス映画では、何かを得ようとしない。
だからこそ、貴重な美しさや、空白の豊かさがあるのかもしれません。


おすすめのヴァカンス映画


個人的に好きな映画を、少しだけご紹介したいと思います。


ギヨーム・ブラック『みんなのヴァカンス』

(C)2020 - Geko Films - ARTE France


モテない3人の男性がフランスのとある田舎町に向かい、それぞれのヴァカンスを過ごす物語。
ひと夏の出会い、恋情や友情を、人間らしい不器用さや欠点までもやさしく掬い取りながら、ドキュメンタリーのような自然さで描いていきます。

決して良いことばかりの展開ではないのに、不思議と多幸感に包まれて心が満たされるような、愛おしい作品。

最新作『また会えるよね』の公開に伴い、渋谷ユーロスペースにて7月18日より、ギヨーム・ブラック監督特集が上映されます。
お近くの方はぜひ、足を運んでみてください。


ジャック・ロジエ『オルエットの方へ』

こちらはPodcastの中でも紹介されていた作品です。

(C)1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA


女性3人が海辺の別荘で過ごすヴァカンスは、これでもかというほど開放的で、笑いが止まらないほどくだらなくて楽しい。
そこから休暇の終盤に訪れる、飽きや関係の拗れといった展開もひっくるめて、162分という長尺で描いた作品です。

162分という長さだからこそ、ヴァカンスの浮き沈みまで一緒に体験したような感覚になれる。
そんな体験がとても尊く、贅沢な時間に感じられました。
こちらは現在見られる場所がありませんが、またどこかで特集上映がありますように…!


ヴァカンス映画といえばエリック・ロメールも有名な監督で、一部作品はAmazon Primeなどでも見られるようです。
こちらも気になる方はチェックしてみてくださいね。


もちろん、日本で何週間もバカンスを取ることは難しいかもしれません。
でも、休日に映画を観たり、お気に入りのヴィンテージ品をぼんやり眺めたり、あてもなく散歩をしたり。

「何かを得るため」ではなく、「ただ過ごすため」の時間を、少しだけ意識してみる。

そんな余白が、毎日を少しだけ豊かにしてくれるのかもしれません。
そしてHeartleyも、そのきっかけのひとつになれたら嬉しく思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

Heartley店主 Kanako

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